こんにちは!QTnetの山﨑です。
先日友人4人と粉もの巡りに大阪へ行ってきました。各テーブルにセットされている
「セルフたこ焼き器」を使い、好きな具を選んで自分たちで焼いていきます。
とろけたチーズとさわやかなシソが混ざり合った「たこシソチーズ」は初めての味。
そのほかにもお好み焼きや、串カツもしっかり堪能しました。
名物を「その土地で味わう」、とても素敵なひとときを過ごすことができました。
 
さて、前回は「台風や大雪など自然災害時こそ、テレワークが有効である」
についてお送りしました。台風や大雪などの自然災害、ウイルス蔓延などのパンデミックといった非常事態では
迅速で的確な「初動」が重要。
人的被害や、大きな経済的損失につながるような場面では、一刻も早く対策を考えて実行する必要がありますが、
そうした緊急時こそ「テレワーク」が有効に活用できる
ことがわかりました。
 
もう一度読みたい方は≪アーカイブ≫からお読みいただけます。

6回目は「テレワーク推進に抵抗する人々、彼らを味方につけるには?」という話をお送りします。
テレワークというと、これまでの働き方と違う体制を整える必要があるため「労務担当者」や
「システム担当者」が反対しそうなイメージ。
そのほか、どんな立場の人が抵抗勢力となるのか注意深く見ていきましょう。
今回も森本さんに伺っています。それでは、 お付き合いください。



<今回の特集>
1 社内の抵抗勢力は管理職
2 目の届かないところで部下が働くことへの不安
3 自ら体験することでメリットを理解
4 抵抗勢力とは、実は推進の大事なキーパーソン

 

 

1 社内の抵抗勢力は管理職
 













「抵抗勢力」。2001年流行語大賞のトップテンにも選出されたこの言葉は、当時の小泉純一郎内閣の
「聖域なき改革」に抵抗する、既得権益を手放したくない勢力を指した。改革には必ず抵抗がある。
テレワークという新しい働き方の導入についてもまた同じだ。 テレワーク推進の抵抗勢力を、
森本登志男さんはズバリ「現場のマネジャーやスタッフと一緒に動き回る人たち。現場に直接関わる
課長クラスが多い
ですね」と明言する。 この指摘は、森本さんの体験に裏打ちされたもの。
企業のテレワーク導入の手伝いをする際に受ける相談、セミナーで挙がる質問も「管理職をどのように
巻き込むのか?」という課題は断トツで多いのだという。
「どこの企業も管理職が反発する、もしくは改革についてこられない状況のようです」と森本さんは語った。




2 目の届かないところで部下が働くことへの不安
 
森本さんは、管理職が抵抗する理由として次の2点を挙げた。 
・ITの活用や従来とは違う働き方の導入といった変化を好まない年齢層が中心
・自分の目の届かないところで部下が働くことに不安がある













「今までは部下が目の前に居るからマネジメントしなくて済みました。こんなに楽なことはありません。
しかしテレワークを導入すると、管理職の仕事が明確に増えることになります。
部下とコミュニケーションをとり、個々のパフォーマンスを評価しなければならなくなり、
管理職の責任も仕事量も求められるようになるのです。
だから給料も高いんだと、会社も本人も気づかないといけません。
もう1点、勤務体制が変われば、関連するシステムが変わって覚えないといけないことも増えます。
しかも若い部下の方がITに詳しい。その不安感、恐怖。それらが重なって抵抗するのです」

しかし、抵抗勢力だからと放置はできない。理由は以下の2点で成否の鍵を握る存在でもあるからだ。
・職員が在宅勤務やテレワークをすることの承認権者となる
・部署によりテレワーク推進の温度差が出てしまいかねない




3 自ら体験することでメリットを理解

では管理職の理解を得るにはどうすればよいのか。

森本さんは「管理職層にテレワークとはどのようなものかを自ら体験して理解をしてもらうことが重要です。
また、職員や部署だけでなく、管理職本人にもメリットがあることを認識してもらう必要もあります」と話す。
森本さんが直接かかわった佐賀県庁のモバイルワーク推進を例に、その方法をみてみよう。













佐賀県庁では、モバイルワークの本格導入の前に推進実証事業を2013年8月から翌14年3月まで行った。
目的は「技術的課題や業務的課題の収集」などいくつかあったが、その中に「管理職層のテレワークへの理解」も
含まれている。具体的には、管理職自身が原則週1回のテレワーク(在宅勤務、サテライトオフィス勤務、
出張時や出先での勤務)を行った。

最初は不安や不満の声が多かったが、数カ月経つと「サテライトオフィスは静かで集中できるので、
積み残した作業が一気に片付いた」「通勤時間減によるメリットを実感」「WEB 会議が便利、職場に行かなくても
会議ができることが普通になってきた」などと肯定的な意見が増えてきた
という。




4 抵抗勢力とは、実は推進の大事なキーパーソン

また、会社のシステム部門も抵抗勢力になりがちだという。その理由は、テレワークがICT(情報通信技術)を
活用しているため、どうしても業務が増えるためだ。具体的には、導入前には機材やシステムの選定、予算措置、
財政や経営層への説明があり、導入後にはメンテナンスもある。













佐賀県庁でもテレワーク実施前、既にテレビ会議を導入していたが、動作が不安定なためシステム部門の職員が
常に待機していたという。森本さんはテレワーク導入時には、システムや機器の納入業者にあらゆるパターンを
想定してしつこいくらいにテストを繰り返してもらった。運用後も業者には数カ月常駐してもらった。
これらはシステム部門の負担を少しでも軽くするためだった。

財政や経営層への説得は、このメーリングリスト2回目で触れたチームを作ることが有効。
「システム部門はを最初からチームに入れ、味方につけるのが大事です。ここが抵抗勢力だと、テレワークは
梃でも動かなくなってしまいます。人事や業務改革のメンバーが経営陣を納得させたうえで具体的なテレワークの
話が進めば、システム部門はずいぶん楽になります」と森本さんは話す。

抵抗勢力は、仲間に引き込んだ瞬間に勝利の立役者となります。反対した側が旗振り役に
なってくれるのですからマイナスがプラスになる訳で、倍の推進力となるんです」と森本さんは指摘した。

その言葉からも分かるように
これまで抵抗勢力と呼んできた人たちは、実はテレワーク推進の大切なキーパーソンなのだ。



<あとがき>
システム担当者が抵抗勢力となりやすい背景として、勤務体系や制度変更による
システムの変更やICT技術の導入による周辺機器の準備や調整などで業務が増える
ということ。業務増加によって担当者が疲弊してしまわないように、森本さんのお話されたような
負担軽減策をあらかじめ考えておけば、抵抗勢力が一転して「勝利の立役者」
になる可能性が高まるということなんですね。
 
テレワークにおいて「キーマン」である「システム担当者」「労務担当者」「管理職」
には、今回の対策方法を参考にしながらテレワーク導入での不安払しょくを行う
ことが重要だと感じました。

第7回は「ナマケモノが増えないか、労務管理の不安を切る」
テレワークの導入を考えたとき、管理職が不安を抱くのは「見えない部下」への労務
管理をどのように行うのかというところではないでしょうか。
見えている部下と、見えない部下の人事制度、給与制度など社員の評価も考えなければ
なりません。さて、一体どんな方法があるのでしょう……。
 
次回も森本さんに興味深い話を聞いていきます。お楽しみに!